2025.09.24

【学ぼうシリーズ】健康を守るため:サプリメントは本当に必要?~サプリメント使用のリスク~

【学ぼうシリーズ】健康を守るため:サプリメントは本当に必要?~サプリメント使用のリスク~

世界アンチ・ドーピング規程(Code)に書かれたクリーンスポーツに関する「11トピックス」とは、スポーツに参加・関わるアスリートやサポートスタッフが知っておくべきクリーンスポーツに関する内容を11のトピックスに分類したもので、
JADAではわかりやすく7つのトピックスに分けて、その11トピックスをクリーンスポーツ・アスリートサイトに掲載しています。

今回は、11トピックスの中で「健康を守るため」のカテゴリーとして分類されている「サプリメントは本当に必要?~サプリメント使用のリスク~」について、まずは基本情報を確認し、クイズを通してポイントを学びましょう!

サプリメントとは... 食品?医薬品?

サプリメントとは、錠剤やカプセル、顆粒、ドリンクタイプなどの健康食品のことを指します。日常でよく目にする、プロテインや栄養ドリンク等も健康食品の一種です。商品によって多種多様な形をしているため、薬と同じ分類かな?と思ってしまうアスリートもいるかもしれません。

食品、医薬品のイメージイラスト

冒頭で「健康食品」とお話したとおり、サプリメントは「食品」に分類されます。他方、病院で処方されたり、ドラッグストアでスポーツファーマシストからのアドバイスで購入したりする、お薬は「医薬品」に分類されます。
「医薬品」と「食品」の違いは、「医薬品」は法律(医薬品医療機器法)により、薬の含有成分の全てを表示する義務があるのに対し、「食品」は全ての含有成分を表示する法的な義務がないということです。

つまり、サプリメント、プロテイン、栄養ドリンク等の食品には、成分表やラベルに記載のない成分が含まれている可能性があります。

サプリメントのリスク

アスリートがサプリメントを摂取する多くの理由は以下が挙げられます。

  • 食事から不足する栄養素を補うため
  • 健康に役立つため
  • リカバリーに役立つため
  • コンディショニングに役立つため など
サプリメントのリスクのイメージイラスト

サプリメントに期待するメリットがあると同時に、サプリメントにはアンチ・ドーピングの観点でリスクもあります。リスクには次のようなものが挙げられます。

  • 製品に含まれる全ての成分を確認することができないため、禁止物質が含まれる可能性がゼロとは言えない
  • 同じ工場で複数の製品を製造している場合があり、製造の過程で他の製品で使用された成分が混入してしまう可能性がある

2000年10月~2001年11月に行った国際的な調査の結果、634個のサプリメントや健康食品の内、約94個(14.8%)に禁止物質が含まれていたことが判明しています。
(引用文献:Geyer H, Parr MK, Mareck U, Reinhart U, Schrader Y, Schänzer W, Analysis of non-hormonal nutritional supplements for anabolic-androgenic steroids - results of an international study. International Journal of Sports Medicine, 2004. 25. 124-129.)

サプリメントのリスク

サプリメントは手軽に入手、摂取できる製品ですが、どんなに成分表やラベルを調べていても、禁止物質を含む可能性があり、アンチ・ドーピング規則違反に問われる可能性があることを決して忘れてはいけません。
サプリメントにはメリットとリスクの両側面があることを知っていただき、サプリメントが本当に必要か、バランスの良い食事、睡眠や適切な休息等、サプリメント摂取以外の方法で対応することが可能かを考えましょう。

また、JADAや世界アンチ・ドーピング機構(WADA)などアンチ・ドーピング機関が承認、認証したサプリメントはありません。
製品のラベルなどに記載がされていても正確な情報とは限りませんので注意しましょう。

クイズにチャレンジ!

さあ、ここまでの内容を思い出しながら次のクイズに答えてみましょう。

問題の図:最近パフォーマンスの調子が上がらない。クリーンアスリートとして、取るべき行動(アクション)は次のうちどれでしょう?

解答選択肢の図:1 「JADA承認」と書かれたサプリメントがあったよね?それなら大丈夫、飲もう!

2 パフォーマンスが上がらない原因は何だろう?スポーツドクターに相談してみよう!

3 毎日の食事、適切な休養は取れているかな?栄養士などの専門家に相談してみよう!

ヒント:答えは一つだけかな?

解説

アスリートが自身の健康を守り、クリーンでフェアなスポーツに参加する上で取るべき行動(アクション)は、2, 3でした!
それぞれの選択肢ごとの解説を見ていきましょう。

「JADA承認」と書かれたサプリメントがあったよね?それなら大丈夫、飲もう!

不正解!

JADAや世界アンチ・ドーピング機構(WADA)などのアンチ・ドーピング機関が承認/認証するサプリメントはありません。
よって、製品やインターネットのサイト上に「JADA承認」と書いてあっても、JADAが承認した物ではなく、禁止物質が含まれていないことを保証するものではないことを覚えておきましょう。

2の選択肢も確認!

ポイントとアクション!を確認!

2 パフォーマンスが上がらない原因は何だろう?スポーツドクターに相談してみよう!

正解!

パフォーマンスが上がらない理由は色々考えられます。
パフォーマンスや自身の体調について不安がある際には、まずはコーチや監督、トレーナー等のサポートスタッフまたはスポーツドクターやスポーツファーマシスト、栄養士などの専門家に相談しましょう。

3の選択肢も確認!

ポイントとアクション!を確認!

3 毎日の食事、適切な休養は取れているかな?栄養士などの専門家に相談してみよう!

正解!

毎日の食事、適切な休養を通した、アスリートとしての強いからだづくりが、真なる勝利につながります。少しでもトレーニング、リカバリー、日常の食事でバランスが取れているかなどに不安がある場合は、栄養士などの専門家に相談し、"Food First"(食事第一)で栄養素を摂取しましょう!

2の選択肢も確認!

ポイント

アスリートがサプリメントのリスクについてここまで確認する必要があるのはなぜでしょうか?
それはアスリートには「厳格責任」という、体内に摂り入れるもの全てにアスリート自身が責任を持つという責務があるからです。

「全て自分の責任」であることを表現したイメージイラスト

サプリメントを摂取して、ドーピング検査で陽性の通知を受けたアスリートが、「成分名がラベルに書いていなかったから、禁止物質が含まれていると思わなかった」 と言っても、それは自身が体に摂り入れるものに責任を持ったとはみなされず、アンチ・ドーピング規則違反に問われる可能性があります。

アクション!

「アクション!」のイメージイラスト

まずは、サプリメントの摂取について一人で判断しないことが大切です
また、サプリメントを摂取することはより良い栄養素を得るための近道ではありません。
あなたがサプリメントを必要とする理由は何かを考え、医師や栄養士などの専門家にアドバイスを求めましょう。
その上で、サプリメントの潜在的な効果とリスクのバランスを考慮し、自ら摂取するかを判断しましょう!

クリーンスポーツに関する11トピックスの図

※11トピックスについては、11トピックスウェビナーで詳しく解説しています

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